2022.05.25

“新しい友だちのことを話しても、おとなは、いちばんたいせつなことはなにも聞かない。「どんな声をしてる?」とか「どんな遊びが好き?」「蝶のコレクションをしてる?」といったことはけっして聞かず、「何歳?」「何人かょうだい?」「体重は何キロ?」「おとうさんの収入は?」などと聞くのだ。そうしてようやく、その子のことがわかった気になる。もしおとなに「バラ色のレンガでできたすごくきれいな家を見たよ。窓辺にはゼラニウムがいっぱい咲いていて、屋根にはハトが何羽もいるんだ…」と話しても、おとなはうまく想像することができない。それにはこう言わなくてはならないのだ。「十万フランの家を見たよ!」するとおとなたちは歓声をあげる。「それはすてきだろうね!」”

 

“じゃあ秘密を教えるよ。とてもかんたんなことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない。きみがバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ。人間たちは、こういう真理を忘れてしまった。でも、きみは忘れちゃいけない。きみは、なつかせたもの、絆を結んだものには、永遠に責任を持つんだ。きみは、きみのバラに、責任がある。”

 

“子どもたちだけが、なにをさがしているのか、わかってるんだね。子どもたちは、ぼろぎれの人形に時間を費やす。だからそのお人形はとっても大事なものになる。それで、とりあげられると泣くんだね…  幸せ者だな、子どもたちは。”

 

“たとえもうじき死ぬとしても、友だちがいたというのは、すてきなことだね。ぼくはキツネと友だちになれたことが、すごくうれしい”

 

“人はみんな、その人なりの星を持ってる。旅をする人たちなら、星は案内役だ。そうでない人たちなら、ただのちっちゃな光。学者たちにとっては研究するものだし、ぼくが会った実業家にとっては金でできているものだった。でもどの星よりも、口をつぐんでる。だからきみには、誰も持ってないような星をあげるよ”

 

“「地球の人たちって」と王子さまが言った。「ひとつの庭園に、五千もバラを植えてるよ… それなのに、さがしているものを見つけられない…」「見つけられないね」僕は答えた。「だけどそれは、たった一輪のバラや、ほんの少しの水のなかに、あるのかもしれないよね… 」「ほんとうだね」僕は答えた。王子さまは言いたした。「でも目では見えないんだ。心でさがさなくちゃ」”